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イラスト・小説ホームページ「十字工房」の管理人。 ブログをほったらかしになる事が多々ありますが、ちゃんと生きてますw 趣味はニコニコ動画閲覧です。
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24 July 2019            [PR]  |   |
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2.そよ風がふく時2

 文明の最先端。
 ムー大陸の中心部には大都市、アルストロメリアがある。総人口は約5000万。面積は南北1万2000km、東西2万2000kmほどあり、規模は凡そニューヨーク2つぶんで、文明は現代社会よりも少しだけ先を行く近未来都市である。
 街中のいたる建物は黒く、しかし絶え間なく煌びやかな街頭が灯っているため、それが太陽の変わりになっている。
 時はおよそ一万二千年前。伝説として広く語り継がれる超古代文明の真っ只中である。

 常にお祭り騒ぎの中にいるようなその街は、当然ながら貧富の差も激しい。また、風俗店の呼び込みの姿もちらほらと見られ未成年の娼婦が我が物顔で街を闊歩している事も多々あった。
「美しい街だ」
 高層ビルの窓辺から、街を見下ろす男の姿があった。ダークスーツをネクタイもせず着くずし髭を生やし、鋭くつり上がった目をした男だった。
「しかし所詮は人の街といった所だな、美しいがゴミが多い。これは目に悪いな。やはり君を誘って正解だったよ」
 男は振り返って、ベッドに腰掛ける少女に近づいていく。膝をベッドに乗せて少女の頬を撫でた後、そのまま押し倒して服を脱がせはじめた。
「そろそろ名前くらい教えてくれても良いんじゃないか?それとも私がつけてあげようか」
「下らない前置きはいいよ、するなら早くしたら?」
 強気な彼女の態度が愉快なのか男は可笑しそうに笑う。どうせその済ました表情も凛とした声も数分後には狂い悶えるに違いない。
「お言葉に甘えて、そうさせて貰うよ」
 少女の上着のボタンを少しずつ外し、ドレスの紐を解きはじめる。
「ん?この模様、どこかでみたことがあるぞ。君は・・・い、いやお前は!」
「なぁんだ知ってたなら話が早い」
 ここで少女の声色が急に乱雑なものに変わる。男は戸惑う間もなく回り込まれ、少女に首を強く締め付けられた。
「この肩の刺青の男を殺せと誰かに命令されなかったか?背格好はあんたと同じくらいだ」
「あ、ギギ・・・貴様は・・・?!」
「・・・言えよ、俺はそいつを探してる」
「そうか、貴様があのシャルマンだったのか・・・!」
 男はズボンのポケットに左手を入れた。何かを取り出そうとしているのか。シャルマンは空いているほうの手で男の右腕を持ち上げる。
「何しようとしてる?拳銃は内ポケットに入れるもんだぜ」
「残念だったな、こうなる事も想定して、あの方はもう一つの命令を残して下さった・・・」
 男が言い終わった次の瞬間、その手首がぱたりと落ちる。
「・・・!おい、どうした?しっかりしろ!」

 シャルマンは男の様子を調べる。脈がなく既に心臓も止まっているようだった。
 そして男の右手には、何もなかった。ただ、手のひらに僅かな量の水滴が残されている。
「こいつは・・・」
 この水が男の死因に何らかの関係があるのだろう。しかし、それがどう作用したのかは全くの謎である。
「これだけの証拠じゃ何も解らないな。尻尾を掴んだと思ったら尻尾しか残ってなかった。そんな感じだな、なあお前さんもそう思うだろう?」
 部屋の外に向けてシャルマンは声をかける。ドア一枚隔てて、また別の何者かが接近している事を察知していたらしい。
「こんな所まで俺みたいなやつを追いかけてきて、ご苦労なこった」
 ドアの外に居たのは、留置所で逃がした例の青年だった。まだ姿を見られた訳でもないのに完全に看破されている。彼は、部屋の中へと足を踏み入れた。
 ベッドの側の床で、先ほどの男が死んでいる。そしてその上で、半裸体のシャルマンが衣服を着直さず好戦的な笑みを浮かべて青年を眺めていた。
「もうあんた、後戻り出来ないぜ?この場を見られたからには、それ相応の対応をとらせてもらう」
「そいつ、死んだのか・・・?」
「ああ、もう息もしてない。心臓も止まってるぜ。俺がやったと言っても誰も疑わないだろうな?」
 まるで、そう言って見ろとでも言わんばかりに目元と口元をつり上げてシャルマンは青年を睨みつける。
「警察でも呼んでそう言うか?それとも、こいつの変わりにあんたが俺を買うかい?」
 なぶるようなシャルマンの態度に対し、青年の目は真剣だった。何を訴えようというのか。彼には畏れも動揺も無かった。
 何を思っているのか、考えがお互いに読めない。ほんの数秒ほど間を開けた後、青年はゆっくりと口を開けた。
「俺は自分の運命を変えたいと思っている」

***

 ホテルから場を移した二人は飲食街のファミリーレストランに入り、窓際のテーブル席に腰をかけた。シャルマンの顔からは笑みが消え、青年も仏頂面のまま、ただメニューを黙って眺めていた。
「何も食べないのか?」
「さっきのホテルでルームサービスを頼んで食った。だから腹は減ってない」
「そうか、それは悪いな。さて、俺はハンバーグセットとキーマカレーとフライドチキンでも頼むとするか。ドリンクバーがあるようだが、お前も頼むか?」
「遠慮しとくよ。それよりも、よくあんなの見た後でそんなに食べられるね。ええと・・・」
「ソレントだ。フルネームでソレント=グリーバー。半年前までディアスシア村の傭兵学校に居た。今は訳あって何もしていないが・・・まあ腹が減るものは減るんだよ」
 ベルを鳴らし、ソレントはウェイトレスに料理を頼む。シャルマンは拒んだが、ドリンクバーとアイスクリームを追加で2つ注文した。
 むしゃむしゃと届いた料理を頬張るソレント。シャルマンは何処かぶつが悪そうに窓から外を眺めていた。
「何を怒ってるんだ?」
「・・・子供扱いしてないか、俺、お前よりは長く生きてるんだぜ?」
「そりゃ意外。いくつだ?俺は今年で二十歳になるが」
「言いたくない」
言葉とは裏腹に、シャルマンの振る舞いは反抗期の拗ねた子供そのものだった。
「年上だったか。あ、じゃあタメ口もやめたほうがいいっすか?」
「どっちでも構わない。それよりもさっきの話、本当なんだろうな?」
しばらくおどけた態度をとっていたソレントだったが、シャルマンがそう聞くとぴたりと食器を置いて神妙な顔つきになる。
「・・・ああ、本当だ」
 ソレントは答えながら、ナフキンで口元を拭う。
「本気で言ってんのか、あいつはお前さんみたいなヒヨッコの手に負えるレベルの相手じゃないんだよ」
「そんなのやってみないと分からない」
「やってからじゃ遅いから言ってるんだ。一度目をつけられたら町中のギャングがお前さんの敵だ」
「さっきの物好きなチンピラみたいにか」
 ソレントが言うと、シャルマンはさらにむっとした表情になった。
「俺が何してようと勝手だろ、お前に何か迷惑かけたか?」
「別に」
「そもそもソレント、お前が奴を狙う理由はなんだ」
「ボランティアだよ」
「嘘だろ?」
「じゃあ助けてくれたお礼ってやつかな」
「じゃあって何だ、真面目に答えろよ!」
 ボランティアという言葉がつい先日自分がソレントに対して吐いた言葉で、それがそのまま自分に返ってきているのが当てつけのように感じ、シャルマンは酷く不愉快に感じた。
「・・・許せるのか?」
「は、何を?」
「奴、つまりロビンの事だ。広域暴力団の力をつかって、狩りを楽しむかのように毎年、何人もの人を殺害している。どれだけ偉いのか知らないが、奴のせいでこの街の治安はいっこうに良くならない。倒すべき悪と考えてはいけないのか?」
「きれい事ばっかり並べてんじゃねえ、お前は車の怖さを知らなくて車道を横切るガキか?」
「どう思われても構わない。俺は一人でもロビンを倒す。だが、どうせやるなら二人のほうが仕事が速い。そうだろう、シャルマン?」
「・・・勝手にしろ、仮にお前さんが死にかけてても助けてやらないからな」
 もう何を言ってもソレントは聞かないだろう。これ以上話し合うのは無駄だと感じたので、渋々とシャルマンは、彼の申し出を受け入れた。
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11 October 2010            追憶の海原(仮)  |  オリジナル小説  |  TB:0  |  C:0  |
プロローグ

 暗雲の立ち込める空の下。
 静かな海原に一隻の船が浮いている。周囲に陸地は見えず帆は畳まれていて、人の気配はない。
 幽霊船のようなその船は、やがて人々の記憶から忘れ去られ、誰にも知られぬまま沈むだろう。
 だが、船は知っている。
 ここで起こった乗客を襲った悲劇と、ある一つの物語の幕開けを。

1.そよ風が吹くとき

「脱走だー!囚人たちが逃げていくぞー!!」
 とある収容所にて、看守の大きな声が響く。
 中庭では、蜘蛛の子を散らしたように囚人たちが一目散に走り去っていく。
「くそ、鍵はちゃんとしめたのに何故だ?!」
 牢屋に戻って、看守は逃げた囚人の居た部屋の鉄格子を、がしゃがしゃと揺らした。
 随分と苛立っていたが、突然彼の動きはぴたりと止まる。
「鍵はきちんとかかっている。・・・逃げた後に再び閉めたのか?
いや、そんな事をしても意味がない。し、しかし壁を破壊した様子もなければ地面に穴も掘られていない。あいつら、一体どうやって逃げたんだ?」
 彼の困惑する様を見て、隣の牢屋に居た囚人が不気味に笑い始めた。
「看守さん、その鍵は元から閉まっていたよ。
それにあんたの言うように、中に居た奴は壁を壊したり土を掘ってもいない」
「貴様!脱走した所を見ていたのか?!」
 看守が鉄格子を蹴って威嚇する。だが、囚人はぴくりとも反応しなかった。
「言え、奴らの逃走経路を!逃げた奴らは一体何をやったんだ?!」
怯えた様子もなく不気味な男は笑みを絶やさないまま
「何もしていない。彼らは無実だ。だから逃げ出せたのさ」
「挑戦的な態度だなお前・・・良い度胸してやがるぜ!」
 看守は鉄格子の隙間から囚人に向かって警棒を投げつけた。
「貴様みたいな奴は徹底的に再教育してやるわ!出ろ!」
 ポケットから鍵を取り出し、看守は扉を開けようとする。
 すると、囚人は警棒をぶつけた頭をさすりながら立ち上がった。
「言われなくてもそうするよ。ところであんた・・・」
「そんな所で何をしているのかな?」
 同じ声が、違う場所からした。
「何・・・?・・・はっ!」
 不気味な男がそう問いかけて数秒後、看守は周囲の視界の変化に気付いた。
 それは、いつの間にか自分が囚人服を着て檻の中にいて、先ほどの囚人が看守の格好になって外に居るという奇妙な現象。
二人の位置が、入れ替わっている。
 いつ入れ替わったのか、どうしてこうなったのか。恐らく、今格子を挟んで外側にいる彼だけが唯一回答できるのだろう。
「な、何?何だ?!貴様、今一体何をしたのだ?!」
「言ってることがよくわからないな。あんた、最初からそこに居ただろう?」
「そ、そんな筈は・・・」
「ははーん、さては投獄される前にやっていたクスリがまだ切れてないな?今、あんたは幻覚を見ておかしな妄想を抱き、混乱してるってわけだ」
「ふざけるな!お、俺は正常だっ!おかしいのは貴様だ!気付かんうちに貴様と俺の位置が入れ替わりやがって・・・!見ろ、すっかり俺は囚人ではないか!」
「ああ悪い、本当に言ってることがよく分からないや。・・・どうやら末期症状らしいね、お前さん。せめてもの情けだ、よく効く薬をやるよ」
 男はおもむろに懐に手をやると、小さな瓶に詰まった白い粉末を取り出した。
「飲むのも撒き散らすのも投げるのも自由だ。けど、いずれにせよこいつを他の看守が見たらどう思うかな?」
「ひいっ!まさか・・・」
「せいぜい、上手く言い訳するんだな」
「ま、待て!貴様よくも・・・あれ?」
 間の抜けた声が看守の口から漏れる。彼が見ていたのは、牢屋の洗面台の鏡に映る自分の姿。
 だがその顔は、自分の顔ではない。見覚えのある人物がそこに居る。
「こ、これは、逃げた囚人・チャーリーの顔・・・?!」
 自分と同じ動きをすることから、彼が自分自身である事はすぐに把握できた。だが、何故こうなっているのかについては分からない。そうして混乱しているうちに、看守の格好をして自分になりかわった何者かは背を向け、囚人室を後にする。
「おい貴様待て!なんでチャーリーが鏡にうつってやがる?!なんでこいつは俺と同じ動きをする!!一体俺はこんな所で何をしているんだ?!」
 囚人にされた彼の絶叫は虚しく、誰の耳にも届くことはなかった。

***

 囚人たちの脱獄から一時間が経過した。事務室が騒ぎになっており、収容所全体が厳戒態勢となっている。そして、収容所近郊の道路脇の茂みに、二人の人間がしゃがみ込んでいた。
 片方は大柄の青年だった。背丈は180センチほどあり、まだ若く外見年齢は二十歳前後といったところである。彼は脱走した囚人の一人だが精悍な顔つきをしており、今着ている囚人服よりももっと良く似合う服がいくらでもあるだろう。
 もう片方は小柄で、二次成長を迎えたばかりのような、若いというよりは幼い少年だった。髪は肩にかかるかかからないかの長さで、その上から白いニット帽、口元に茶色いマスクを被っており顔全体は見えない。
「・・・今頃、刑務所は騒ぎになってる筈だ。お前さんも、速く逃げたほうがいいよ。せっかく逃げられたのにまた捕まっちゃ意味がないからね」
 少年が囚人服の青年に忠告する。だが青年は、その場を動こうとはしなかった。
「なんだ、逃げねえのか?」
「・・・一つ訪ねたいんだけどお前は何者だ?俺と同じ脱獄囚って訳じゃ無さそうだが」
「ここには用事があってちょっと寄っただけなんだ。あんた達を逃がしたのも単なる気まぐれさ、恩に着る事もないし知る必要もない事だ」
「・・・本当にただの気まぐれか?」
「ずいぶんと失礼な事を言う奴だな、疑ってかかるとは。純粋なボランティア精神を踏みにじるっていうのか?お前さん」
「お前のような年頃の子供が、ボランティアで囚人を逃がしたりするもんか。助けてもらっておいてなんだが、警戒している」
「警戒、なるほど警戒ねえ」
「そう、警戒心が強いのなら尚の事、俺について知ろうとするな。知った瞬間からお前さんの運命は大きく変わる」
「それは忠告か?」
 難しそうな顔をして、少年は唸りだした。
「助かったならもうそれで良いじゃねえか。とにかく俺ともうこれ以上係わり合いになるな」
 青年の額を人差し指で軽く押した後、少年は彼に背を向けて道路に出て歩いていった。

 彼には、多くの謎がある。見た目はまだ幼いのに醜悪な老婆のような狡猾さもある。
 背格好は露出が多く、肌の所々に水や炎を模した様々なタトゥーが掘られていて、マスクを取ればうすく桃色の口紅が見え、外見年齢に不釣合いな艶めかしさもある。道化と呼ぶのが相応しいだろう。
 彼は決して一つの場所に留まる事はなく、世界の至る所に神出鬼没に現れては悪戯をして去ってゆく。
 先ほどの青年たちを助けたのも、その悪戯のひとつなのか、それとも何か目的があっての事なのか。
 少年の名はシャルマンといった。誰にも知られないまま世の中から忽然と姿を消し、多くの謎だけを後世に残した人物である。
 これは、その謎を追う青年と、シャルマンの戦いの物語である。
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